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2025/11/04

臨床薬効解析学分野(医療・衛生薬学領域)

臨床薬効解析学分野 岡田欣晃准教授の「脳に安全に薬を送達する新技術」についての研究成果がJCR誌に掲載され、新聞報道されました。

大阪大学大学院薬学研究科の井上采人さん、白倉圭佑助教、白野敦也さん、岡田欣晃准教授らの研究グループは、同研究科の近藤昌夫教授らとの共同研究により、薬を脳に安全に送達する新技術を開発しました。
血液中の異物を脳内に通過させないようにする脳血管の仕組み(血液脳関門)が、脳疾患の治療薬を脳内に届けることを妨げ、治療を難しくしています。この血液脳関門の機能の一部は、脳血管の内側を覆う血管内皮細胞同士が、Claudin-5と呼ばれるタンパク質で接着されることにより生み出されています。今回の研究では、このClaudin-5に結合する分子(CL5B)を発見し、CL5Bを用いて血液脳関門を短時間(30分以内)だけ開き、薬を脳に届けられることを示しました。
これまでにもClaudin-5を標的とする血液脳関門を開く分子が開発されてきましたが、それらの作用時間は長く、安全性が懸念されていました。今回、研究グループが発見したCL5Bは、体内から素早く消失するClaudin-5結合分子であることから、マウスの血液脳関門を短時間だけ開き、安全に薬を脳内に届け、脳疾患を治療することができます。この薬の脳内送達技術を活用することにより、これまで脳に届けられなかった治療薬候補を、脳疾患の治療薬として活用できることが期待されます。

本研究成果は、国際誌「Journal of Controlled Release」に、2025年10月11日(土)に公開され、新聞報道(日本経済新聞(10/30)、日刊工業新聞(10/31))されました。

論文名: Claudin 5-binding small molecule transiently opens the blood–brain barrier and safely enhances brain drug delivery
雑誌名: Journal of Controlled Release
著者: Saito Inoue†, Keisuke Shirakura†, Atsuya Shirono†, Jumpei Taguchi, Yoshiki Ikeda, Satomi Tomita, Risa Funatsu, Kosuke Muraoka, Yosuke Hashimoto, Keisuke Tachibana, Nobumasa Hino, Takefumi Doi, Yui Ikemi, Kazuto Nunomura, Bangzhong Lin, Shinsaku Nakagawa, Kazutake Tsujikawa, Shota Tanaka, Masanori Obana, Yasushi Fujio, Takamitsu Hosoya, Hiroyuki Takeda*, Masuo Kondoh*, Yoshiaki Okada*
(†筆頭著者, *責任著者)
†筆頭著者 *責任著者