Research / Equipment
研究と設備
最先端!研究ニュース
2023/01/19
臨床薬効解析学分野(医療・衛生薬学領域)
血管透過性を抑制する戦略で病原体を選ばない重症感染症治療薬の開発へ 新型コロナウイルス感染症・敗血症の死亡率の低減に期待
森田真綾大学院生、岡田欣晃准教授らの研究グループは、血管透過性を抑制する機能を持つRobo4遺伝子の量を増やすことで、重症感染症マウスの血管透過性の亢進と死亡率を低減できることを発見しました。またRobo4遺伝子量を調節するしくみの解明からRobo4量を増やす薬を特定し、この薬で血管透過性を下げ、敗血症・新型コロナウイルス感染症マウスの死亡率を低減できることを証明しました。
これまでに、病原体、免疫細胞、炎症性サイトカインを標的とする優れた重症感染症の治療薬が開発されてきましたが、これらを用いてもなお死亡率の低減が難しいことが問題となっていました。今回の研究では、既存薬が標的としてこなかった「血管透過性の亢進」のプロセスに着目し、これを抑制することが重症感染症の新しい治療法となる可能性を示しました。本研究で提案する血管標的薬は、理論上、病原体を選ばない作用機序のため、今後出現する新たな重症感染症の予防・治療薬の開発に貢献すると期待されます。本研究成果は、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に、1月13日に公開されました。
論文名: Upregulation of Robo4 expression by SMAD signaling suppresses vascular permeability and mortality in endotoxemia and COVID-19 models
雑誌名: Proceedings of the National Academy of Sciences
著者: Maaya Morita†, Aki Yoneda, Nagisa Tokunoh, Tatsumi Masaki, Keisuke Shirakura,† Mayumi Kinoshita, Rina Hashimoto, Naoya Shigesada, Junya Takahashi, Masashi Tachibana, Shota Tanaka, Masanori Obana, Nobumasa Hino, Masahito Ikawa, Kazutake Tsujikawa, Chikako Ono, Yoshiharu Matsuura, Hiroyasu Kidoya, Nobuyuki Takakura, Yoshiaki Kubota, Takefumi Doi, Kazuo Takayama, Yasuo Yoshioka, Yasushi Fujio, Yoshiaki Okada*
†筆頭著者 *責任著者