Research / Equipment
研究と設備
研究者紹介
［寄附講座］先制心身医薬学講座
笠原 恵美子講師
山口大学医療技術短期大学部を卒業し、臨床検査技師の免許を取得。JT医薬総合研究所にて、創薬の薬効評価に従事。疾患の治療には「病態を観察し知ること」の重要性を認識し、基礎研究に興味をもつ。大阪市立大学医学研究科（井上正康教授）にて生体の抗酸化物質代謝動態とその歪みによって誘起される様々な病態の研究を行う。米国ミシガン大学留学後に大阪府立大学で学位を取得し、兵庫医科大学、大阪市立大学を経て現職。生体の「動的平衡現象」である様々な代謝変化の仕組みや、ストレスが関連する疾患における役割を明らかにしたい。
研究テーマ
ストレス応答系における神経-内分泌-ミトコンドリアネットワークの解明
生体のストレス反応において、生命活動の恒常性を維持するために酸素代謝や栄養代謝が変化するが、その際にミトコンドリアのエネルギー代謝系の変化を伴う。ストレス負荷時の神経-内分泌系の変化が、その後の心身の変化に及ぼす影響や病態との関連についてミトコンドリア機能を中心に検討している。
ストレス応答の性差
精神疾患のなかで、うつ病の発症率は女性が男性の約2倍と高い。女性特有のホルモン等の変動による内因性のストレスや、結婚・出産・育児などライフイベントを通じて受ける心因性のストレスは女性特有なうつ病発症の要因になり得るが、分子生物学的な病態背景は明らかではない。雌雄のマウスにおけるストレス応答の違いや、ストレス反応の違いによる行動様式への影響を明らかにし、性別に適した予防、診断、治療法の確立に繋げたい。
生体のストレス応答と鉄代謝調節
生体内の鉄は、酸素運搬、酸化還元反応、細胞増殖、感染防御など様々な役割を担っており、生物の生存に不可欠な微量金属である。そのため体内での鉄の量は厳密に調節されている。鉄代謝が障害されると、貧血、倦怠感、疲労感を伴う諸症状を惹起するのみならず、精神障害への関与も報告されている。我々は、ストレスが鉄代謝調節システムに及ぼす影響、及びストレスにより惹起される病態と鉄代謝の関連ついて、マウスを用いて検討を行なっている。
代表的な業績
Effects of Importin α1/KPNA1 deletion and adolescent social isolation stress on psychiatric disorder-associated behaviors in mice.
PLoS One.16(11),2021
Decreased Colonic Guanylin/Uroguanylin Expression and Dried Stool Property in Mice With Social Defeat Stress
Front Physiol,11:599582, 2020
Stress-Induced Glucocorticoid Release Upregulates Uncoupling Protein-2 Expression and Enhances Resistance to Endotoxin-Induced Lethality.
Neuroimmunomodulation. (5):279-92. 2015
Cross-talk between HPA-axis-increased glucocorticoids and mitochondrial stress determines immune responses and clinical manifestations of patients with sepsis. (Review) Redox Rep. 20, 1-10. 2015 Kasahara E, Inoue M.
Role of Adrenocorticotropic Hormone in the Modulation of Pollinosis Induced by Pollen Antigens.
Neuroimmunomodulation. 22, 256-262.2015
Gender difference in tumor necrosis factor-α production in human neutrophils stimulated by lipopolysaccharide and interferon-γ
Biochem Biophys Res Commun. 441, 220-225 2013
Mitochondrial density contributes to immune response of macrophages to lipopolysaccharide via a MAPK pathway.
FEBS Letter. 585, 2263-2268. 2011
Mitochondria determine the efficacy of anticancer agents that interact with DNA but not the cytoskeleton.
J Pharmacol Exp Ther. 337, 838-845. 2011
