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2026/08/05
研究
臨床薬効解析学分野(分野主任 藤尾 慈教授)の亀谷祐介大学院生(研究当時)らが心筋炎の病態進展に関わる新たな分子機序を発見し、その成果がCardiovascular Research誌に掲載されました。
•概要
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たす臓器です。心臓は再生能の乏しい臓器であることから、虚血傷害などで低下した心機能を回復させるのは極めて困難です。一方、心筋炎では、心筋に傷害が起こるにも関わらず、炎症終息後に、多くの症例で、低下した心機能が回復することが知られています。
大阪大学大学院薬学研究科臨床薬効解析学分野(分野主任 藤尾 慈教授)のグループは、独自の視点から、心筋炎における心機能回復の分子メカニズムの解明を目指して研究を行ってきました。これまでに、心機能の回復には、細胞保護サイトカインシグナルを介した心筋組織修復が重要であることを報告してきました(Miyawaki A. et al., Sci Rep. 2017;7(1):1407.)。しかしながら、心筋細胞における炎症修復のメカニズムには不明な点が多く残されています。
今回、亀谷祐介大学院生(研究当時)らは、マウスモデルを用いて心筋炎病態の修復シグナルについて詳細に検討したところ、心筋組織で炎症が起きた際には、心筋細胞でYes-associated protein 1 (YAP) 分子を介したシグナルが活性化されることを見出しました。さらに、YAPシグナルの活性化は、細胞内の炎症シグナル(インターフェロン-γによるSTAT1活性化)の抑制を介して、心筋組織の炎症終息や修復に関わることを明らかにしました。また、ヒト心臓においても、炎症が起きた際にYAPシグナルが活性化されることから、臨床的にも心筋炎症後の病態進展に関与する可能性が示されました。
本研究により、心筋細胞において、YAPが炎症を抑制し心臓の修復に関与する知見が初めて示されました。今後、この生体が本来持つ心筋修復シグナルを活用した治療法の開発に発展するものと期待されます。
本研究成果は、「Cardiovascular Research」(2026年7月オンライン)に発表されました。
雑誌名:Cardiovascular Research
論文名:YAP plays a critical role in myocardial recovery from myocarditis by suppressing IFN-γ signaling pathway
著者:Kametani Y, Obana M, Umeda A, Suzuki S, Egawa K, Nishinaka K, Okuzaki D, Tanaka S, Sadoshima J, Fukada S, Okada Y, Fujio Y.







