News
お知らせ
News お知らせ一覧
News
2025/12/09
研究
【論文掲載】定量生命物理化学分野 太田宗一郎さん(学部生(研究当時))、小田明佳さん(学部3年)、大久保忠恭名誉教授、白石勇太郎講師、河原一樹助教、吉田卓也准教授、上田卓見教授らの論文がAnalytical Chemistry誌に掲載されました。
プロスタグランジンは痛覚や炎症反応、血管拡張等を司る生理活性物質です。プロスタグランジンは不安定であり、自発的あるいは酵素的に様々な代謝物に変換されます。シクロデキストリン等で安定化したプロスタグランジン類の製剤が、臨床で使用されています。脳脊髄液中に存在するプロスタグランジンD2 (PGD2)は、睡眠を誘発するプロスタグランジンであり、自発的な代謝反応により15d-PGD2やPGJ2、15d-PGJ2等の代謝物に変換されることが知られています。PGD2および代謝物の生理機能を理解する上では、PGD2の代謝反応の経路と速度を明らかすることが不可欠です。
本学の太田宗一郎さん(学部生(研究当時))、小田明佳さん(学部3年)、大久保忠恭名誉教授、白石勇太郎講師、河原一樹助教、吉田卓也准教授、上田卓見教授、および大阪大学微生物病研究所の沖大也特任助教(常勤)、近畿大学の島本茂准教授らの研究グループは、核磁気共鳴法(NMR法)により、中性水溶液中および人工脳脊髄液中では、数十時間のタイムスケールで、PGD2がPGJ2および15d-PGD2を経由して15d-PGJ2に代謝されること、およびPGD2輸送タンパク質であるL-PGDSとの複合体中では約3時間で中間体が検出されることなく15d-PGJ2に変換されることを解明しました。さらに、15d-PGD2とL-PGDSの複合体のX線結晶構造を解くことに成功して、L-PGDSが形成する溝の中に位置する65番目のシステイン残基と15d-PGJ2の9位が共有結合した複合体を形成することを明らかにしました。本研究成果により、生理的条件に対応する様々な環境におけるプロスタグランジンの代謝反応の経路や速度を解析することが可能となり、プロスタグランジン類の生理機能の理解が進むとともに、プロスタグランジン製剤開発の推進が期待されます。
本研究成果は、アメリカ化学会が発行する、分析化学分野の国際的トップジャーナルである「Analytical Chemistry」 誌に掲載されました。
雑誌名: Analytical Chemistry
論文名: Integrative real-time NMR and X-ray crystallography reveal prostaglandin D2 metabolism
著者: Soichiro Ohta#, Shigeru Shimamoto, Haruka Oda, Tadayasu Ohkubo, Hiroya Oki, Yutaro Shiraishi, Kazuki Kawahara, Takuya Yoshida, Takumi Ueda*
#筆頭著者 *責任著者







