第63回日本油化学会年会（令和7年9月3日–5日）
「光活性化二酸化塩素酸化を用いたPCEのケミカルアップサイクル」
JOCS Poster Award
谷口　玄汰（生体構造機能分析学分野 博士前期課程1年）
パークロロエチレン（PCE）は、優れた溶解力を持つためドライクリーニング溶剤や金属部品の洗浄剤として広く用いられてきたものの、神経毒性や発がん性が懸念されており、近年では世界的にPCEの生産を減らす動きがあります。しかし、PCEは様々な工業プロセスにおいて副生し続けています。本研究では二酸化塩素への光照射をカギとする独自の酸化修飾法を活用し、PCEを高活性な中間体へと変換し、アミンと反応させることで合成化学的に有用なアミド誘導体を直接得る手法を開発しました。廃棄が求められる有機溶剤から、安全・安価に医薬品前駆体などのファインケミカルを得ることができるケミカルアップサイクル（本来捨てられるはずの廃棄物に新たな価値を与える化学処理法）としての可能性が評価され受賞に至りました。