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2024/11/08

研究

タンパク質の代表的な「形」を網羅したFMOデータセットを公開 -創薬AIのさらなる加速に向けて-

本文大阪大学大学院薬学研究科の髙谷大輔講師、薬学部の大野修さん、宮岸澄真さん、田中蒼大さん、福澤薫教授らの研究グループは、タンパク質の代表的な「形」を網羅したフラグメント分子軌道法(FMO)法による量子化学計算結果のデータセットを世界で初めて公開しました。
タンパク質や核酸などは、生体内で立体的な構造をしており、その形がそれぞれの分子の働き方を決めています。この形はX線結晶構造解析などの方法で実験的に調べることができます。これまでに22万以上のタンパク質などの立体的な構造が調べられており、それらのデータはPDB というウェブサイトから、誰でも自由に使えるように公開されています。
当研究グループでは、タンパク質の機能には、その形状以外に構造に基づく分子内・分子間の相互作用も重要であると考え、分子の電子状態に基づいた相互作用の正確な理解と創薬への応用を目指しています。そこでフラグメント分子軌道 (FMO) 法 という量子化学計算手法 の1つを用いて、SCOP2分類というPDBに登録されている約6000構造もの基本的な形(フォールド)の代表に対して網羅的な計算を実施して、相互作用のデータを取得しました。FMO計算では、いくつかの異なる計算レベルを使いました。たとえば、6-31G*, 6-31G**, cc-pVDZという基底関数を使って電子相関を含むMP2レベルの計算をしています。
この計算によって、約 6000のタンパク質の構造を調べ、その中で2億以上のアミノ酸残基ペアの間でどのような相互作用が働いているかを定量的に解析しました。具体的には、静電相互作用や分散相互作用などのエネルギーを計算して、それぞれの強さを明らかにしています。本研究で提供する相互作用データは、タンパク質の電子状態に基づく機能解析およびAI構築などの機械学習の役にたつと期待されます。本研究成果は、科学雑誌「Scientific Data」に、10月23日(10PM日本時間)に公開されました。