近年、「水素」の安定同位体である「重水素」を低分子医薬品に組み込んだ「重医薬品」が注目されています（下記、重水素学HPを参照）。しかし、重水素を効率的に導入できる試薬は限られていることが課題でした。
澤間善成准教授のグループは、安価で豊富に存在する「重水」を重水素源とした多様な有機分子への重水素の導入法を開発しております。今回、アルキルスルホニウム塩の特性を上手く利用し、重水素が導入された様々なアルキル化試薬の合成方法論を確立しました。
この方法論により、これまで困難とされた重医薬品の合成が可能となり、重水素創薬の益々の発展が期待されます。
この研究成果は、 Wileyジャーナル「Angewante Chemie International Edition」に2023年9月27日（オンライン公開）に掲載され、Frontispieceに採択されました。
また、学術誌に掲載された有機合成化学に関する最新の論文の中から、特に注目される合成反応を選出し紹介する Thieme出版社「SYNFACTS」でも紹介されました。

論文情報
雑誌名：Angewante Chemie International Edition
論文名：Sulfonium Salt Reagents for the Introduction of Deuterated Alkyl Groups in Drug Discovery
著者： Kazuho Ban, Keisuke Imai, Shuki Oyama, Jin Tokunaga, Yui Ikeda, Hiromasa Uchiyama, Kazunori Kadota, Yuichi Tozuka, Shuji Akai and Yoshinari Sawama