がん治療における標的分子の一つとして, L-Trpを代謝するタンパク質であるIDO1に対する阻害剤研究が盛んに行われていましたが、うまく開発が進んでいませんでした。そんななか新たに発見されたIDO2が新たな標的分子として注目を集めました。しかしながらIDO2は、がん組織において発現が上昇していますが、L-Trpの代謝活性が低いという特徴しか知られておらず、IDO2を標的分子とする根拠に乏しい現状でした。そこでIDO2をがん治療のターゲットとする根拠を明確にするために、酵素学的情報の集積を行いました。
本研究で、L-Trpを代謝できないと考えられていたIDO2が、L-Trpと結合まではできることを発見しました。また、IDO2特異的に結合できる化合物として、新たにセロトニンを新たに発見しました。さらにメタボローム解析により、IDO2が代謝できる化合物を発見し、IDO2が内在的に酵素機能を持つことを明らかとし、発表を行いました。