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2023/02/09

研究

【論文掲載】生体構造機能分析学分野井上豪教授、淺原時泰准教授らのクライオ電子顕微鏡の新技術に関する論文がScientific Reports 誌に掲載されました。

 クライオ電顕(CryoEM)を用いたタンパク質の単粒子構造解析法では、従来のⅩ線回折法に必須の結晶化プロセスが不要で、溶液状態を反映した構造を解析することができ、2017年のノーベル賞の対象にもなりました。しかし、「氷包埋」というサンプル調製のための条件検討に1カ月程度必要なケースがあり、未だボトルネックになっていました。
 CryoEMでは薄い氷の中にタンパク質粒子を閉じ込め、その透過像を多数撮影する必要がありますが、疎水性の高いタンパク質では気液界面に吸着されることが熱力学的にも不可避で、同じ方向からの透過像しか得られないという「優先配向」の問題があり、構造解析を困難にしていました。
 今回、CryoEMに用いる金属グリッドの上に貼り付けたグラフェン膜を後から酸化し、エポキシ基を導入することによってタンパク質をグラフェン膜上に固定化するツール(Epoxidized Graphene Grid; EG-grid®)を生命機能研究科の藤田純三特任助教(助教)、牧野文信招へい准教授、難波啓一特任教授らと共同して開発しました。これによって気液界面に吸着された粒子を洗浄でき、サンプル調製が数十分で可能となるだけでなく、タンパク質粒子の表面に存在するリジン残基を捉えることにより、様々な方位の粒子像を効率よく撮影することができることが分かりました。
 本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」(オンライン)に、2023年2月8日に公開されました。なお本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(JST、OPERA、JPMJOP1861)の支援を受けて実施しました。

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Epoxidized graphene grid for highly efficient high-resolution cryoEM structural analysis
著者:Junso Fujita†, Fumiaki Makino†, Haruyasu Asahara†, Maiko Moriguchi, Shota Kumano, Itsuki Anzai, Jun-ichi Kishikawa, Yoshiharu Matsuura, Takayuki Kato, Keiichi Namba*, Tsuyoshi Inoue*
†筆頭著者 *責任著者