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学生インタビュー

目指すのは研究成果を臨床に
還元できる社会実装力を持った
ファーマシスト・サイエンティスト

薬学研究科 博士課程 医療薬学専攻(3年)

竹村 美穂 さん

所属・学年は 2022/8 現在の情報です

■薬剤師をめざした理由

薬を飲みたくない患者さんの
気持ちがわかる薬剤師になりたい

意外に思われるかもしれませんが、私はそもそも薬があまり好きではありません。例えばお腹が痛いとき、友だちに「痛み止めを飲めばいいよ」と言われても私は薬に頼りたくありませんでした。クスリを逆に読むとリスクですよね。私と同じように薬にネガティブな感情を抱いている人は世の中にたくさんいるのではないか。だったら私は「薬を飲みたくない」という患者さんの気持ちを理解したうえで、そういった方たちの症状をできるだけ緩和させてあげられるような薬剤師になりたいと考えるようになりました。

■博士課程に進学した理由

自らの興味を追求できる
研究の面白さにとりつかれた

ですから大学入学当初は病院などの臨床現場で働くことをイメージしていて、博士課程に進むことは考えていませんでした。考えが変わったのは、学部3年次に行った自主研究を通して、“自分の興味があることをとことん追求できる”という研究の面白さにとりつかれたから。在宅医療における薬剤師の役割について、バイタルサイン測定の面から現状と課題を考察し、薬剤師の職能拡大の可能性を提示したのですが、自分で課題を見つけ、自らプランを立てて研究していくプロセス全てが勉強になったと同時に、論文投稿や学会発表を通じて自分の研究が医療の進展に貢献し得ることを実感しました。

■研究活動で達成感を感じたエピソード

研究成果が社会に還元できたことを様々な賞の受賞で実感

学部5年次には、実務実習中に感じたクリニカルクエスチョン(臨床現場での疑問や課題)を端緒に自ら臨床研究を実施しました。学校薬剤師として教職員対象のアナフィラキシーショック対応に関する講習会を担当した際、アンケート調査を実施し、さらに効果を高めるには何が必要かを分析。受講者の理解度が1年後には低下してしまうという実態を浮き彫りにし、学校薬剤師としての情報発信の重要性と方策をまとめました。
光栄なことに、3年次の研究は学内の自主研究奨励事業の優秀賞をいただき、文部科学省主催のサイエンス・インカレにも採択されました。5年次の研究は日本薬学会の年会で優秀発表賞を受賞。また、これらの自主研究と並行して取り組んできた長期課題研究では、私が筆頭著者として発表した研究成果が著名な国際会議や論文誌に採択されました。これらの経験を通じて、自分の研究が単なる自己満足ではなかったこと、そしてその成果を多少なりとも社会に還元できたことを嬉しく思いました。

■大学院での学生生活

臨床実習と研究活動の相互作用で
より良い成果を獲得

4年間の博士課程、私は研究も臨床もできることにすごくわくわくしています。臨床の現場で働く先輩方にお話を伺うと、「研究はしたいけれど業務優先のために時間を確保するのが難しい」のが現状らしく、比較的自由な立場で研究も臨床もできる大学院という環境は私にとって理想的だと感じています。現在は急性期病院と終末期の緩和ケアを行う病院で臨床研修を行いながら研究活動を行う生活で、忙しいのは間違いありませんが、全て自分のやりたいことなのでとても充実しています。
女性としてのライフプランも意識はしますが、20代は研究者としてのレベルを高める大切な期間であり、若いときだからこそ伸ばせる力があると思います。心がけているのは、限られた時間をどれだけ密にできるか。密度を上げることでプライベートとのバランスもとれると考えています。

■現在取り組んでいる研究

難治性疼痛の緩和を狙った新規治療法を探求

現在は、病気や治療によって生ずる様々な身体・精神症状の緩和に関する臨床研究を行っています。特に、患者さんのQOL(Quality of Life)に大きく影響する痛みに着目し、従来の治療法では対応できなかった難治性疼痛の緩和を狙った新規治療法を探求しています。普遍的な治療戦略を確立するとともに個人差に応じた治療のエビデンスも構築することで、一人でも多くの患者さんが“その人らしく”治療・療養生活を送れるようにしたいと考えています。
将来目指すのは、研究成果を臨床に還元できる社会実装力を持ったファーマシスト・サイエンティスト。その実力を磨くのに大阪大学大学院はこの上なく恵まれた環境です。

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