ごあいさつ


 平成30年4月より薬学研究科長・薬学部長を拝命致しました土井です。
 大阪大学薬学部のルーツは、1886年設立された大阪薬学校にまで遡りますが、大阪大学としては、1949年に医学部薬学科としてスタートし、1955年に旧帝国大学における最初の薬学部として独立したという歴史を持っています。設立以来、多くの研究者、教育者をはじめ、産業界、医療機関、行政で活躍する多くの人材を排出しています。
 大阪大学は、適塾・懐徳堂以来の市民精神を受け継ぎ、産業界、民間の寄付によって誕生した大学であります。その流れを汲んでか基礎研究の重要性はもちろんですが、それに加えより実学を意識した大学でもあります。薬学においても、基礎研究を極めつつ薬剤師の養成、医薬品開発といった人々の健康に貢献する教育・研究を行ってきています。さらに、これから益々医学部、医学部附属病院との連携や、省庁、企業との連携が重要と考えています。
 2014年に行われた文部科学省ミッションの再定義において、薬学研究科・薬学部は、国際舞台で活躍できる「創薬臨床力」に優れた人材を育成し、「創薬基盤技術力」を磨いて最先端で活躍できる創薬を担う研究者を育成することを宣言し、高く評価されました。これらの宣言を実践するために、2019年度より研究型薬剤師およびPharmacist-Scientistの育成にむけて、新たな薬学研究教育(新全6年制教育)に取り組むことを決意しています。この新全6年制薬学教育は、全国に例をみない取組みであり、これまでの6年制薬学教育では育成しきれなかった研究マインドを持ち合わせた薬剤師を世の中に輩出し、医療における課題の探求や解決能力を身につけた、リーダーとしての役割を果たす人材として活躍してもらうことを期待しています。
 大阪大学では、免疫を代表とする生命科学研究が世界レベルで展開されていますが、近年、創薬における大学の役割が注目されています。多くの研究者は大学における成果を社会に還元したいという考えを持っており、研究成果をいかにして新薬開発にもっていくことができるか、その可能性を探っています。  以前より医学部附属病院の未来医療開発部においては、臨床試験へのサポートが実施されており、また産学共創本部では企業への導出支援が行われています。また創薬への初期段階レベルの基礎研究や技術に対しては、先導的学際研究機構創薬サイエンス部門が支援を行っていますが、現在では、低分子創薬に関しては、日本医療研究開発機構(AMED)からご支援をいただき、薬学研究科において、化合物のスクリーニングから、ヒット化合物の合成展開、安全性試験、薬物動態までを実施できる体制を整えてきています。薬学研究科に設置されています創薬センターにおいては、化合物ライブラリーのスクリーニング、ヒット化合物からリード化合物を得るための合成展開、得られた候補化合物のin vitro、in vivoにおける薬理活性、毒性、安全性の確認、薬物動態など、候補化合物を臨床試験にあげるために必要な研究を実施することが可能になっています。  このように、化学領域、生命領域、医療・衛生・環境領域における基盤研究としての薬学研究から、社会実装に向けた応用研究、創薬研究が、この大阪大学薬学研究科で展開されています。また、薬を世に出すために避けて通れない規制についても取組んでおり、レギュラトリーサイエンス分野を開設して社会実装研究への展開を図ろうとしています。
 学生のみなさんには、大阪大学薬学部・薬学研究科において、学生、研究者、教員が一体となって心ときめく研究に打ち込んでいただき、医療従事者として、また産学官、医療機関で活躍する人材として、巣立っていただきたいと思っています。

薬学研究科長・薬学部長
土井 健史
大阪大学 大学院薬学研究科・薬学部
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