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2025/11/25
受賞
【受賞】毒性学分野 博士前期課程2年 山内南帆氏が第75回日本薬学会関西支総会・大会にて優秀ポスター発表賞を受賞しました。
PFAS(有機フッ素化合物)は撥水性・撥油性、および熱・化学的安定性に優れることから、消費財や工業製品に広く利用されています。しかし、その高い安定性により、環境中や体内に残留・蓄積しやすく、飲料水や食品を介した曝露による健康影響が懸念されています。中でも妊娠期の曝露は胎児発育不全と関連することが報告されており、生殖・発生への影響評価は急務であるといえます。本研究では、妊娠維持や胎仔発育に不可欠である胎盤に着目し、胎児発育不全と胎盤の形成過程の異常との連関が示唆されていることを踏まえ、 PFASが胎盤の成熟に不可欠な合胞体化(胎盤細胞の融合)とホルモン分泌に与える影響を評価しました。ヒト胎盤由来の絨毛細胞株に対し、細胞融合を誘導するforskolinと化審法により規制されているPFAS(PFOS、PFOA、PFHxS)をそれぞれ48時間曝露し、融合過程への影響を評価したところ、PFOS、PFOAの曝露により細胞融合が有意に抑制されました。また、各種合胞体化マーカー遺伝子の発現量はPFOS、PFOA、PFHxSの曝露によって低下し、胎盤ホルモンhCGβの産生量はPFOS、PFOAの曝露により減少しました。以上の結果より、PFOSおよびPFOAが胎盤の構造形成に必要な合胞体化を抑制し、妊娠維持や胎盤機能に関与するホルモン分泌を低下させることが示唆されました。今後は、規制対象外のPFASについても評価を進め、胎盤および胎児への毒性を明らかにすることで、生殖・発生への影響をより包括的に評価していく予定です。







