食と環境の安全安心を担う薬学人材養成教育

- 統合型教育体制の整備による食と環境の安全・安心を確保できる環境薬学領域の人材育成 -

平成20年度 質の高い大学教育推進プログラム

 

領域別統合型教育体制の構築

(1)大阪大学における現行の6年制薬学教育対応カリキュラム

 平成18年度から開始した6年制薬学教育に対応したカリキュラムでは、薬科学科(4年制学科)、薬学科(6年制学科)共に、主に2から3年次に薬学専門科目の講義や演習、基礎実習を履修する。その後、薬科学科は4年次に卒業研究を実施し、薬学科は4年次から6年次にかけて、長期課題研究、実務実習事前学習、実務実習、医療薬学領域科目及び大学院修士課程開講科目を履修する。薬学教育モデル・コアカリキュラムの内容は、上記の薬学専門科目と医療薬学領域科目で履修でき、一方、実務実習モデル・コアカリキュラムの内容は、4年次以降の実務実習事前学習及び実務実習で履修できるように構成されている(上図)。

 このように、本学における現行のカリキュラムは6年制薬学教育の指針に準拠しており、また個々の科目のシラバスは、大阪大学の学務情報システムの基準にしたがって作成し公開されている。また、卒業要件や履修方法等については、学生便覧に明記し、これを冊子として学生に配布している。しかし、2から3年次に履修する薬学専門科目については、異なった領域の講義や演習、基礎実習がアラカルト的に分散しており、当該科目の薬学教育における位置づけや科目相互の関連性に関する説明が学生に対して十分に行われているとは言い難い。またシラバスの内容については、学習目標や学習方略に関する書式が統一されておらず、成績評価についても方法や基準が明示されていない科目が多い。

 したがって、前述の大阪大学の教育理念に基づき、教育の目的を達成することにより優秀な人材を養成・輩出するためには、学生に対して、学習の指針・手引きとなる学習目標や学習方略、成績評価方法等を明示し、さらに系統的な学習を促す手法を講じることにより、学習に対するモチベーションの維持・向上を図る必要がある。特に、本取組の目的である、食と環境の“高度なリスクマネージメント”を担うことができる優れた薬学研究者や薬剤師の養成を達成するためには、こういった高い教育効果か期待できる体制の整備が必須である。

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(2)領域別統合型教育体制の構築とシラバスの整備

 そこで本取組では、まず薬学専門教育について領域別統合型教育体制の構築を図る。具体的には、上記の両学科共通の薬学専門科目と薬学科学生が4年次以降に履修する医療薬学領域科目を薬学全体の教育目標とそれぞれの科目の学習目標を勘案して、物理化学領域、有機化学領域、生物薬学領域、環境薬学領域及び医療薬学領域の5領域に再編成する。

 それぞれの領域については、薬学専門教育における位置づけ、領域として達成すべき学習目標、領域内の科目間の関連性について解説を加える。

 各領域に分類された科目については、

  1. 学習目標については、一般目標(GIO)と到達目標(SBOs)に分けて明示する。

  2. 到達目標については、薬学教育モデル・コアカリキュラムとの対応を示す。また予習や自己学習の指針として、簡単な解説やキーワードを加える。

  3. 各回の授業について、学習方法、場所、人的資源、物的資源等を記載した学習方略(授業計画)を明示する。

  4. 成績評価については、下記(3)参照

  5. 当該科目の領域内での位置づけや、領域内の他の科目との関連性を解説する。

  6. 担当教員の連絡先やオフィスアワーについても記載する。


(3)成績評価の明確化

 成績評価は、合否判定を目的とする総括的評価と、学習過程の改善を目的とする形成的評価に分ける。

総括的評価については、全ての科目について、学習目標に対する妥当性や、客観性、信頼性が高い評価方法及び評価基準を設定し、さらに効率性や特異性、透明性を十分考慮した“厳正な評価”を実施する。また、評価方法及び評価基準は学生に予め周知し、教育効果の向上を図る。将来的には、GPAの採用等、科目単位ではなく領域単位で総括的評価を行う手法についても検討を行う。

形成的評価については、個々の学生の学習到達度を的確に測定することにより、学生の学習意識、学習方法等の改善や、学習目標、学習方略、場合によっては総括的評価の方法・基準の改善に資する。科目ごとに、学習目標、学習方略に合わせた適当な方法を設定する。


(4)「学習の手引き」の作成

 上記のような新たに構築する領域別統合型教育体制の内容については、学内での統一的な書式が求められるシラバスへの記載は困難であるので、別途、シラバスの内容も含む「学習の手引き」を作成し、これに記載する。「学習の手引き」は、年度の始めに学生及び教員に配布し、学生に対してはガイダンスを実施することにより周知を図る。