医療の多様化に加え、感染症や食品・環境汚染による健康被害の防止にまで拡大した国民のニーズに的確に対応できる先導的薬剤師を輩出するために、大学間連携によって各大学の優れた組織的、人的資源を補完的、発展的に活用し、高学年薬剤師養成教育の高度化・実質化を可能にします。

 

 

 

プログラムの必要性

目的・目標
  1. 高齢化社会の到来や生活習慣病の増加により国民の健康に対する関心が高まる中、多様化する医薬に対応できる薬剤師養成を目的に、平成18年度に薬学6年制教育が開始された。
  2. 6年制教育における国立大学法人の使命は、最近の社会的ニーズの拡大に的確に対応し、広範な職域で指導的な立場で活躍できる“先導的な薬剤師”、即ち、医療現場での医薬品適正使用のみならず、創薬研究や感染症予防、食と環境の安全・安心確保まで、国民の健康に総合的に貢献できる薬剤師を輩出することにある。
  3. 大阪大学が事業実施主体となり国立大学法人全14大学薬学部が大学間連携により、本使命を果たすために必要な高学年薬剤師養成教育の高度化・実質化が可能な教育プログラムを共同開発する。これにより個々の大学だけでは達成できない、各大学の実績や個性豊かな取組を重視しつつ補完的・発展的に統合した実践的プログラムの構築が可能となる。
必要性・緊急性
  1. 薬学6年制教育では、平成22年度には一期生の5ヶ月に渡る長期参加型実務実習が開始される。これまで各薬科大学・薬学部では、新たな取組として、モデル・コアカリキュラムに準拠した授業参加型長期実務実習といった薬剤師養成の基盤教育体制を整備し、さらに基礎的な研究能力の養成を目的とする長期課題研究や、医療薬学領域のアドバンスト教育といった高学年対象の教育体制の整備を進めてきた。
  2. しかし、最近、食品や環境の汚染や新興・再興感染症の流行による健康被害に対する脅威が増大し、また最先端医療を支える次世代の創薬が待望される中、薬剤師が果たすべき役割はさらに広がり、同時により高度な職能が求められるようになった。
  3. こうした社会的ニーズの拡大に迅速に対応し、医療現場での医薬品の適正使用に留まらず、食や環境の安全・安心の確保、感染症の的確な予防、さらには創薬の推進まで、国民の健康の維持増進に総合的に貢献できる優れた薬剤師を養成するためには、6年制教育の完成年度を待たず、高学年薬剤師養成教育のさらなる高度化・実質化を実現する必要がある。
  4. 即ち、6年制一期生の5年次から、これまで計画してきた薬物治療中心の医療薬学教育に加えて、創薬、環境薬学や感染症予防に関する高度専門教育、さらには医療人としての高い使命感の涵養や自立的研究能力の向上を図ることにより、多様な職域で高度な職能を発揮し、指導的な立場で活躍できる“先導的な薬剤師”を輩出することが非常に重要である。
  5. 新設の薬学部の急増による薬剤師過剰供給時代の到来に対処するため、医療人としての質の担保、薬学領域の学術研究を担う若手研究者の養成の他、職能を活かせる多様な就職先の確保が薬学教育における重要かつ緊急な課題となっている。本事業による“先導的な薬剤師”の輩出には、薬剤師が魅力ある職業として受験生に認知され、薬学全体の衰退にもつながりかねない薬学部受験者数の急激な減少を防止し改善する使命が託されている。
独創性・新規性等
  1. 参画する国立大学は、高度医療を実践する医学部及び附属病院を有し、さらに歯学部、看護学部・学科等の医療系学部・組織を併設している。本事業では、こういった学内部局・組織との密な連携体制を構築することにより、最先端の医療現場を教育の場とする教育効果の高い医療人教育プログラムが開発できる。
  2. 国立大学では、医療薬学から創薬、衛生化学、有機化学へ至る広範な領域において優れた学術研究基盤が整っており、またそれぞれの大学が国際的に高く評価される特徴的な研究領域を有している。本事業では、このような大学の密な連携により、社会と学生の多様なニーズに対応できる広範な領域での高い専門性の修得が可能な教育プログラムを開発できる。
  3. さらに国立大学の6年制教育では、一学年の定員8~55名に対して非常に密度の濃い少人数教育を行なうことができる。したがって、早期体験学習から高学年のアドバンスト教育まで、個々の学生のニーズと教育効果を確認しながらプログラム開発を行うことができる。

“先導的な薬剤師”の輩出に必要な高学年薬剤師養成教育の高度化・実質化は、大学間連携によって、上記の各大学の充実した組織的資源と優れた人的資源、さらに個性豊かな知的リソースを補完的かつ発展的に活用した教育プログラムの開発により初めて達成が可能となる。こういった薬剤師養成教育の高度化・実質化と、これまで取り組んできた医療薬学領域の知識・技能・態度教育の整備の相乗効果により、学部教育に求められる“学士力”の統合的向上が実現し、先導的な薬剤師の輩出による大きな社会貢献が期待できる。

 

 

波及効果

学問的波及効果
  1. 薬学6年制教育の高度化と実質化が可能となり、多様な職域で指導的な立場で活躍できる”先導的な薬剤師”の養成が達成できる。
  2. 参画大学間相互の大学院進学や人的交流も促進されることにより、学術研究を担う若手研究者不足が解消され、薬学全体の発展も期待できる。
  3. 医学部や付属病院等との連携強化により、薬学発のトランスレーショナルリサーチの発展とそれを主導できる若手研究者の養成が期待できる。
社会的波及効果
  1. 多様な職能や自立的問題解決能力を修得した薬剤師の輩出により、チーム医療への貢献度が飛躍的に向上し、高度で柔軟な医療の提供が期待できる。
  2. 病院や薬局のとの連携強化により、現場薬剤師の薬剤師養成教育に対する使命感が高まり、実務実習の質的向上、薬剤師全体の資質の向上が期待できる。
  3. 事業成果の全大学への普及により、薬剤師の新たなキャリアパスや教育形態の開発への発展が可能となり、薬学全体のレベルアップ・発展に資することができる。
What's new
PAGE TOP ▲