【報告】在宅医療推進のための地域における多職種連携ワークショップ

2018.02.10

報告者:
金沢大学 教授 荒井 國三

題名:
「薬剤師の「対物業務から対人業務への転換」のためにリーダーとしてすべきことはなにか?」

概要:
医薬分業制度は、薬漬け医療という社会問題からの脱却を図り、純粋に医学的見地から必要とされる薬物療法を確立することで、結果として医療費に占める薬剤費を抑制することが可能と考えられ、政府の誘導政策によって進められた制度である。しかしながら、それが機能せず、①薬剤費の抑制がされず、②調剤費用の大幅な増大、③メディケーションエラーのリスクの軽減ができていない、④「門前薬局」形態で薬剤管理の一元化ができていないことなどが課題となっている。また、在宅医療の促進についても、相変わらず、効率(在宅訪問の時間、医師や看護師の連携など)と経済性(注射薬や麻薬の在庫管理)の問題や在宅医療を実施する手順がわからないことを理由に多くの薬剤師は在宅医療に関わっていない。しかし、これらは薬剤師の在宅医療に対する積極性の欠如の結果の様に感じる。
厚生労働省は、地域包括ケアシステムの構築や患者本位の医薬分業の実現に向けて近隣医療機関 の処方箋を主に扱う「門前薬局」から、患者が複数の医療機関を受診してもその処方箋を一元的に管理 する「かかりつけ薬局(健康サポート薬局)」への移行を推進する方針を示し、「患者のための薬局ビジョン」を構築した。しかし、相変わらず、本来目的の「患者のための薬局」であることからはなれ、その用件を満たすことを目的に活動をしていることが気になるところである。
 薬剤師が在宅医療にかかわる有用性について要介護認定者が薬の管理ができていない、飲み忘れる、や、過量服用の防止、多種類服用の不安への対応、介護者の薬についての知識不足といった場合、薬剤師は、これらに対応し、一包化、服薬カレンダーの作成、保管方法の提案、医師への処方変更の提案、残薬の整理等を行うことにより、在宅医療の効果改善や生活の質の向上に貢献することが可能になるとされている。しかし、一包化、服薬カレンダーの作成、保管方法の提案、残薬の整理などは果たして薬剤師が参加しないとできない行為なのだろうか?また、在宅医療に必須と考えられる薬剤師と他職種の連携が十分に取れていないことで示されているように、その内容に問題点が多い。
これらの問題に対して薬剤師はその原点に立ち戻り、「患者のための薬物治療」を実践する必要がある。それは、患者が満足するための薬物治療は個別化された「あなただけに特別に」医療を提供することである。そのためには患者情報の適切な収集とその情報をもとに薬剤師が個々の患者に特有の臨床状況と患者の価値観を考慮した上で,入手可能な範囲で最も信頼できる根拠(evidence)(ガイドラインや臨床研究結果)を把握して最善の医療を提供することである。
今回の研修では在宅医療における薬剤師の役割(多職種が期待する、必要だと感じられる役割)は何か?その役割を実現するには何が必要なのか(薬剤師の働き方改革、薬剤師の意識・薬剤師文化の改革?)、を討論した。この成果は第51回日本薬剤師会学術大会で発表予定である
【タイムスケジュール】
2月10日
13:00 金沢駅集合 (県外者) 
13:45-14:00参加者受付:名札とファイル・資料を取ってもらい、自由に着席
14:00-14:10 開会式(挨拶・趣旨説明)(金沢大 荒井)
14:10-14:30 アイスブレーキング (説明5分・WC15分)(金沢大浦田)
14:30-15:30 患者のための薬局ビジョン、かかりつけ薬局や健康サポート薬局 
(厚生労働省 上野 友貴奈)
15:30-16:00 (移動)
16:00-17:00 ひなの家(てまり薬局) 見学&説明
17:00-17:30 (移動)
17:30-19:00 (食事)
19:00-21:00
「薬剤師の「対物業務から対人業務への転換」のためにリーダーとしてすべきことはなにか?」
① 問題点はどこにあるのか?
19:00-19:30 地域医療連携(てまり薬局 橋本昌子)
19:30-19:45 社会改革のリーダーとなる(金沢大 荒井)
19:45-19:50 GW説明 荒井
19:55-21:05 グループ討論・作成
21:05-22:00 発表 総合討論
22:00-   情報交換会
2月11日
9:00-9:05 テーマ「在宅医療における薬物治療」 説明 荒井
9:05-9:35 地域のがん緩和ケア(とくひさ中央薬局 小林星太 大木孝弘)
9:35-10:00 在宅における褥瘡の薬物治療(上荒屋菜の花薬局 藤澤美和)
10:00-10:20 在宅における認知症治療(てまり西泉薬局 山口弘美)
10:30-12:00
「薬剤師の「対物業務から対人業務への転換」のためにリーダーとしてすべきことはなにか?」
② 解決法はどこにあるのか?
10:30-11:30 グループ討論・作成
11:30-12:00 発表 総合討論
12:00-12:05 閉会式 (アンケート)

感想:
国公立大学が要請する高度先導的薬剤師とは薬剤師文化を改革するリーダーと考え、在宅医療をテーマとして、「薬剤師の「対物業務から対人業務への転換」のためにリーダーとしてすべきことはなにか?」を学生とともに臨床現場にいる薬剤師とともに考える機会は提供した。しかし、薬剤師の現状について「緊急さの意識」や「共通のビジョン」を短い時間で醸成することは困難で、浅い議論で終わってしまった。継続してこの取り組みを行う必要性を感じた。

参加者感想:
1.研修前と研修後の薬剤師について自分の考え方の変化
研修前は、薬剤師の仕事というと薬を袋に詰めて、患者さんに服薬指導しているだけというイメージが大きかったです。相互作用の確認をしたり、必要に応じて疑義照会を行ったりしていることも知ってはいましたが、実際にそれらを目にする機会はそれほどありません。チーム医療では、医師や看護師の表面化した仕事が目につきやすく、それらの職業と比較して地味という印象さえも抱いていました。
薬剤師の主な仕事は上記のように薬の袋詰めや服薬指導、相互作用確認や疑義照会なのですが、自分の取り組み次第で活躍の場を広げたりチーム医療の主役になったりすることも可能であり、輝ける存在であると感じました。勉強会や研修で習得した知識や経験を活かして、患者さんの力になりたい、患者さんのために何が出来るのだろうか、ということを考えて積極的に活動されている方々のお話を聞いて、率直に「薬剤師はすごい。こんなにも患者さんのお役に立つことが出来るのだ。」と感動しました。薬剤師の仕事は、地味ではなく他職種をしっかりとサポートする縁の下の力持ちであり、時にはチーム医療の主役にだってなれると感じました。そして、そのような薬剤師は患者さんや他職種の方からも頼られる存在であり、仕事から得られる達成感も非常に大きいです。薬剤師はやりがいのある仕事であると感じました。このように研修を通して薬剤師の仕事の明るい面を理解することができました。また、これらは継続的な努力があってこそだと考えます。私自身、免許の取得だけで満足するのではなく、常に向上心を持って仕事や自己研鑽に取り組み、患者さんを第一に思って行動出来る薬剤師でありたいと感じました。

高度先導的薬剤師のイメージ
保守的になるのではなく新しいことにどんどんチャレンジしていく薬剤師、専門性を高めより幅広く深い知識を持った薬剤師、リーダーシップのある薬剤師、薬のことに関しては他の医療従事者や患者さん等誰からも頼りにされる薬剤師、これが私の考える高度先導的薬剤師のイメージであります。これは、実際に先進的に活躍されている薬剤師の方々のお話を聞いて抱いた像であります。どの薬剤師の方も、自らが先頭となりご自身で考え行動し、患者さんのお役に立てるようにご活躍、ご尽力されていらっしゃいました。そして、自分の業務に自信や誇りを持って取り組んでいるように感じられました。皆さんそれぞれが輝いていらっしゃいました。そのように、第一線でご活躍されている薬剤師の方々こそが高度先導的薬剤師と称される存在であると感じました。仕事を受け身で待つのではなく、自ら積極的に舵を取れる薬剤師でありたいと考えます。
研修の感想
薬剤師を取り巻く現状や、いまの薬剤師には何が求められているのか、私たちが薬剤師として働く際に必要なことはなにかについて考えることが出来ました。
実際に先端でご活躍されている薬剤師の方々のお話を聞き、薬剤師の業務はやりがいのあるものだと感じました。褥瘡ケアで医師からも信頼され、業務を任されたという事例では、薬剤師がリーダーとなってチーム医療を引っ張っていったというその活躍に非常に感心しました。自己の知識を活用し、試行錯誤しながら解決していったという薬剤師の姿は非常に堂々として輝いて見えました。私もより高度な知識を身につけそれを活かして患者さん第一で行動し、他の医療従事者からも信頼される薬剤師でありたいと強く感じました。また、私たち薬剤師は「薬」というモノを扱うのではなく、「患者さん」というヒトと向き合う職業であるということを認識しました。薬を袋詰めするだけの薬剤師、教科書や添付文書通りの服薬指導をするだけの薬剤師はもはや求められていません。それぞれの患者さんと向き合い、必要な情報を最適に伝えられることが重要であると感じました。そのためには知識だけでなくコミュニケーション能力も必要です。薬剤師に求められるものは膨大でありますが、できることは着実に実践し、不足している部分は補っていきたいです。
グループワークでは、理想の薬剤師について様々な意見を交換することができました。将来自分がどういう薬剤師でありたいか、またどのような薬剤師が望ましいのか、求められているのかを意見し、議論することで、理想の薬剤師についての考えを深めることができました。学生と実際に現場でご活躍されている薬剤師の方の意見がミックスされて濃密な議論となりました。そして、その理想像に近づくために何をすべきかを考えたことで今後の課題が見えてきました。理想の薬剤師に必要なことの1つである充分な知識の習得のために、学校の授業をより熱心に取り組むことは今からできることなので、早速実践していきたいです。
先進的にご活躍されている薬剤師の方々の貴重なお話を聞いたり、さまざまなアイデアを持った仲間と議論をしたりして、自己の啓発になりました。研修直後の熱い気持ちを忘れずに今後の学校生活、そして将来の薬剤師業務に邁進していきたいです。短い時間でしたが、非常に有意義な研修となりました。

2.研修前後での薬剤師に対する考え方の変化
 薬剤師の業務内容として真っ先に思い浮かぶのが、調剤と服薬指導である。先日受験したOSCEでは患者への初回インタビューやOTC医薬品の相談などの項目もあった。しかし、実際に自分が患者として薬局へ行った際には、初回インタビューなどはなく問診票が渡されるだけで、OTCに関する相談をしている人というのも見たことがない。監査や疑義照会も薬剤師の大切な仕事ではあるが、それによってどの程度処方が改善されているのかもわからない。そのため、薬剤師というと調剤と服薬指導をしているイメージしかなかった。おそらく、一般の患者さんからしたらなおさら何をしている職業なのかわかりにくいであろう。
 研修に参加して、実際に薬局で働く薬剤師さんのお話を伺うと、やはり調剤と服薬指導に慢心している薬剤師も多いらしい。だがその一方で、患者さんを第一に考えた素晴らしい取り組みをしている薬剤師・薬局もいらっしゃることを知ることができた。薬物治療に関する専門知識が豊富であることが薬剤師の強みであり、在宅における緩和ケアや褥瘡治療など、薬剤師の活躍すべき場はいくらでもある。そういったところに自らの必要性を見出し、積極的に取り組むことができる薬剤師が今後必要とされるということを感じた。近年では、薬剤師の仕事はAIに奪われてしまうのではないかとの議論がされているが、在宅医療などの高度な応用力やコミュニケーション能力を要する業務は、やはり人間にしかできないことだと思う。薬剤師が調剤をして患者に医薬品を提供するという行為は、それ自体が目的ではなく、あくまでも患者の健康面での生活全般を支えるための手段であるということを改めて実感した。
今回の研修会でご講演くださった薬剤師の先生方は、みなさん自信をもって自分たちの取り組みを紹介しておられた。これは日頃から薬物療法に関する強い責任感と薬剤師としての誠実さをもって働いているからこそできることだと思う。自分も先生方を見習い、患者さんを第一に考え、自己研鑽のできる薬剤師にならなければいけないと強く感じた

高度先導的薬剤師のイメージ
 高度先導的薬剤師とは、薬剤師間での活動や多職種でのチーム医療においてリーダーシップを発揮でき、また、自らの行動により周囲の意識を変えることができる薬剤師であると私は考える。上荒屋菜の花薬局の藤澤先生はご講演の中で、周囲の薬剤師を数名巻き込んで褥瘡治療の講習会に参加したと話されていた。先生は「巻き込んで」という表現を使っておられたが、周りからの信頼があるからこそできることだと思うし、そういった新たな経験の場に他の薬剤師を「導く」ことができるというのは、まさしく先導的であると思う。また、講習会で得た知識を現場に持ち帰り実際に成果を上げたことで、介護施設での医療に携わるチームの薬剤師に対する認識を変えた。これだけの行動力・影響力を持つ薬剤師になるためには、受け身の姿勢ではいけない。リーダーになるためには、日頃からいろいろなことに興味を持ち、つねに学ぼうとする意識と、学んだことをすぐにでも活かしたいと思う意欲が必要であると感じた。

研修の感想
 現在金沢市内の薬局でご活躍されている薬剤師さんのお話を聞いて、薬剤師としての対人業務に大変興味が湧いた。藤澤先生の取り組みで、はじめは「薬剤師がなんで褥瘡に手を出してくるのだ」と言っていた医師や介護士を納得させ、指導する立場にまでなったというお話を聞いて、自分もチーム医療を牽引する存在になってみたいと憧れを感じた。薬剤師は目立たない陰の功労者ではなく、もっと他の職種や患者に対してアピールできる職であるべきだと思う。薬剤師が今後さらに活躍するために、薬局内にとどまらず、外の世界に出て、多職種との連携や薬剤師ならではの新しい取り組みなど、積極的になる必要があるということを強く感じた。
 今回の研修では、どのような薬剤師が求められているのか、今の薬剤師にはどのような問題があるのかなど、授業では聞くことのできない薬剤師の生の声を聞くことができ、自分が薬剤師として働き始めるまでに何を身につけるべきかを考える良い機会となった。現在の薬剤師が抱える問題点についてグループディスカッションをした際、実際に現場で働いている薬剤師の方々からもたくさんの問題点があがった。問題点が分かっているのになぜ改善できないのかと尋ねると、ミスをしてはいけないという気持ちや周囲の雰囲気からなかなか行動を起こしづらく、結局他人からの指示に従うだけになってしまっているのだという。国家試験に向けた勉強や実務実習を通じて薬剤に関する知識は大学生のうちに身につくが、実際に薬剤を用いた薬物治療に関与する経験が不足していたり、薬学以外の分野については深く理解していなかったりということが自信不足を招き、ミスを恐れる原因となっているのではないかと私は考える。国家試験に受かるだけを目標にするのではなく、より質の高い医療に携わることのできる知識を身につけられるよう、今後の学生生活はいっそう身を引き締めて過ごしていきたい。

3.研修前と研修後の薬剤師について自分の考え方の変化
研修前 研修後
それぞれの薬剤師の間に知識レベルの差がうまれるのは、学習機会の有無によるものである。 薬剤師は研修にかなり積極的に参加している。勉強態度も真面目。それでも身につく知識に差が出るのは、アウトプットする機会の有無によるものだと考えられる。
薬剤師はあまり表に出てこない職業
単純作業が多い 特に在宅医療においては、藤澤さんのように、自ら積極的に治療の提案をする場合もある。表に出ない、黒子的な立場が魅力だと感じている薬剤師が多い。危機感を感じている薬剤師は少ない。特に、薬剤師の表に出ない姿勢が良いという考えが衝撃だった。

高度先導的薬剤師のイメージ
高度先導的薬剤師という文面からなんとなく、薬の開発に関わったり、臨床試験を担当したり、先進的な治療に詳しかったり、といった技術面で進んだ薬剤師の姿を思い描いていた。しかし、今回のプログラムに参加して、高度先導的薬剤師が先導するのは技術ではなく精神だということが分かった。今回のプログラムでは、現役薬剤師の方たちに、今の薬剤師の姿について詳しくうかがうことが出来た。(1)でも述べたように、薬剤師が表に出ないのは、表に出ないことが美学であると感じるプラスの理由と、表に出ることが面倒だというマイナスの理由があると考えられる。これは、もともと表に出ないことが良いという考えであったのか、それとも表に出ることが面倒であるため、それを正当化するためにそのような美学が代償として生まれたのか、もしくは単純にその2つの理由が存在するだけなのか、さらに分析する必要があると思った。また、薬剤師になった当初からそのような考えであったのか、藤澤さんのお話にあったように、他職種からのバッシングにあいそのような考えになったのか、その違いによって高度先導的薬剤師が担う役割も変わってくるだろうなと思った。

研修の感想
グループワークをしていて、理想の薬剤師像について話し合っていた時、特に現役の薬剤師の方からは責任感のある、という趣旨の言葉が多く出た。私は、責任感という言葉は非常にあいまいな一方で使い勝手がよく、それさえ言えば丸くおさまる言葉であると考えている。たまに、自分が全て責任をとると主張する人に出会うが、そういう人が責任感のある人かと言えばそうでないように思える。薬剤師の方たちがおっしゃる責任感というのは、薬剤師法に書かれた義務を果たす・自らの都合より患者さんの都合を考慮する、といった内容ではないかと思った。つまり、技術面としてしっかり行うべき仕事をし、精神面として患者さんに尽くす、という姿が薬剤師からみた責任感のある薬剤師だといえる。しかし、これが理想像でいいのか、といった疑問がぬぐえない。なぜなら、仕事をしっかりするのも、患者さんのことを考えるのも、薬剤師として働くなら当たり前のことだからだ。理想像というのは、まだ達成されていない目標とするべき姿であると私は考えているので、もし、上記のような姿が本当に理想だとするなら、大半の薬剤師は当たり前のこともしない人だということになってしまう。その他の薬剤師の理想像も、今それが達成されていないということが信じられず、これが理想像だ、と腑に落ちることはなかった。しかし、それは私がまだ薬剤師として働いていないからかもしれない。理想像を口で語ることも、やって当然だと思うことも、言うだけ、思うだけなら簡単だが、実際に行動すると難しいということは多々ある。今回のプログラムで思ったこと、感じたことを薬剤師になってからも忘れないようにしたい。そして、実際に薬剤師として働いてから、もう一度薬剤師の理想像について考えたいと思う。

4.研修前後の、薬剤師に関する考え方の変化
薬剤師に対するイメージという点においては大きな変化はなかった。しかしながら認識が改められた点として、薬剤師研修に関するものがある。今回の研修前は、薬剤師研修は意識が高い層の特定の薬剤師によってヘビーローテションされているのだろうとの認識を持っていたが、それは間違いであり、研修への参加層はかなり広いということを知った。むしろ問題となっているのは、研修が「認定薬剤師の単位をとるために参加するイベント」と化してしまい、深い学びの場としては形骸化しがちであるということであった。学習へのインセンティブを与えるためにとられた制度なのだろうが、ともすれば費用に見合っただけの「薬剤師の資質向上」が成し遂げられなかった裏目なのかもしれない。
また、薬剤師という職種の立場に関しても考えさせられることは多かった。薬学部に在籍し学んでいると、薬剤師という職種のポテンシャルや可能性について学び論じることが多いため、ついつい薬剤師の能力乃至現状に関して過大評価をしてしまいがちである。しかし、今回のような研修を通じて現場の実態を知ると、現状では薬剤師が適切に介入できている領域はそこまで多くなく、あくまでもその領域を広げるための活動を第一にしていかなければいけないという前提を再認識させられた。どうしても、政治・行政上日本では医師の力が絶大なイメージがある。最先端の医療現場においては変わってきているのだと思うが、おそらく政治・行政の中心地では旧態依然なのではないかと感じる。医療と政局はできるだけ離しておきたいものではあるが、医師と薬剤師の健全な関係を構築していくためには、「医師と対等な政治的影響力を発揮できる人材を擁立する」「薬剤師と医師の関係に関して正しい理解のある医師を支援する」といった政治的な局面にも多少のリソースを割かなければならないのかもしれない(一介の学生の与り知るところではないし、おそらくは既に為されてきている取り組みなのだろうが)。
少し本筋とは離れるが、薬剤師と協働する「調剤助手=テクニシャン」の導入に関しても少し議論が起こった。私の考えとしては、日本においてテクニシャンを導入することに関しては反対の立場である。もちろん、ピッキングなどのこまごまとした業務を薬剤師がやるべきであるというのではない。「今更テクニシャンを導入することに意義は非常に薄い」というところが真意である。現在、ディープラーニングに裏打ちされたAIの画像認識技術や調剤ロボットの進化は日進月歩で進んでおり、それらは近い将来ピッキングなどの業務は全く問題なくこなせるようになるだけのポテンシャルを秘めていると感じている。つまり、これから法整備などを行い、年月をかけてテクニシャンを導入したところで「登場したときにはお払い箱」という笑えない結末が待っている可能性が大なのである。そうなれば人的資源と経済力の壮大な無駄遣いと言うほかない。20~30年前にこの議論が起こったのであればテクニシャンを導入することに価値はあっただろう。しかし、現在の日本が取るべき方向は、米国の後追いをすることではなく、むしろ調剤ロボットとそのプログラム開発を推進することで調剤先進国となることである。幸い日本には細かい操作を可能とするロボット技術がそれなりに蓄積されているし、労働力減少と薬剤師不足というプロジェクトを進めるインセンティブも存在する。この実現により、薬剤師は完全な知的労働職となるのである。現在の薬剤師業務が変わることに抵抗を覚えるお偉方もいるかもしれない。だが、世界は変化し続けるものであるし、薬剤師のあるべき姿は肉体労働者ではないだろう。薬剤師サイドとしても、資金や人材の面からこの方向性を是非とも後押ししてほしいものである。先述のように、現在この分野の技術革新は非常に早い。悠長に構えていられるだけの余裕は、今の日本にはおそらくないのではないだろうか。

「高度先導的薬剤師」のイメージ
そもそも、「高度先導的薬剤師」とは何であろうか。「先導的」という言葉を内包している以上、他の者たち、特に他の薬剤師をより高みへと、よりあるべき姿へと導いていく役割を果たす薬剤師であると考えられる。つまりは、単なる「優れた薬剤師」以上の能力を求められていることになるのである。その中でもさらに「高度」となれば、まさに金字塔のような薬剤師であろうか。
何はともあれ、まずは薬剤師のあるべき姿というものに焦点を当てていきたい。時代に合わせて医療の姿が変化していく以上、あまり具体的な内容について拘束をしてしまうとそれが時代にそぐわないものとなる可能性があるため、「薬剤師」という職はどのように医療に貢献するか、その最終目標に近い大きな枠組みから考えていくべきだろう。
薬剤師法第一条には、薬剤師の役割が次のように記されている:【薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。】そう、薬剤師は医薬品に関する事柄を「つかさどる」ことが求められている職種なのである。よってあるべき薬剤師の姿としてもっとも抽象的な枠組みは「国民の健康に対する医薬品を用いたあらゆるアプローチに責任を持つ」ことであると考える。単に口を出すだけでは意味がなく、そうした「権利的な」主張のみではあまりに無責任なので、ここではあえて「責任を持つ」という重い責務として定めておきたい。究極的には、この目的・責務を達成するために必要なことを日々実行していけばいいのである。薬剤師法や薬剤師行動規範といったビジョン・ミッションは定めることではなく振り返り心にとめることに意味があるので、一薬剤師として行動する際は定期的に確認しておきたい。その先の具体的な議論としては、グループワークにおいても様々な内容が挙げられた。我が班で「薬剤師が持ち合わせているべきもの」として挙がったものは、
①薬学を中心とした幅広い知識
②情報の伝達と聞き取りを両立できる双方向のコミュニケーション能力
③経済や経営に対する広い視野
④患者を第一に考える
⑤個々の職種の強みとすべきことを見極める能力
であった。もちろんこれが絶対的な正解というわけではないが、学生や臨床薬剤師の中では様々な方面に対する能力が必要と考えられていることが明らかとなった。つまるところ、理想の薬剤師像たるものがスペシャリストからジェネラリスト側へと移行しているのではないだろうか。
ここからは個人的な考えとなるが、今後求められる薬剤師の能力のうち、「詳細な薬学知識」に関する部分、特に臨床的な部分についてはその重みが減少していくのではないかと考えている。というのも、現代社会はインターネットによってあらゆる情報に瞬時にアクセスできる時代である。実際の現場でもやっているだろうが、本当に細かい知識はその都度確認を行っていけば良いのである。そうなると、本当に細かい知識を大学で教え込まれて暗記することの価値はなくなる。必要な知識として残るのは、「このような系統の薬はこういうことに気を付けて情報を確認しなければいけない」といった大筋の(それでもそれなりには多いが)知識と、的確な情報を瞬時に入手するための情報リテラシーである。そして、細かい知識を詰め込むことに使っていた老職は、コミュニケーション能力を中心としたジェネラリスト的側面へと振り向けていけば良いのではないだろうか。そのように薬剤師の姿が変化していくことが時代に沿っているし望ましいと考えている。根本的にこれらを実現していくためには大学教育におけるカリキュラムの改訂と薬剤師国家試験の変革を実施していかなければならないかもしれない。
そして、「先導的」であるためには上記のことを他者へと伝え、理解させ、実行させていくような役割を果たさなければならない。ここで必要になってくる業務やスキルは、例えばわかりやすい形で言うなれば講演や講義を行うことであろう。やはりここでもコミュニケーション能力は活きてくる。また、明確なビジョンを持ち合わせていることも必要不可欠だろう。的確なビジョンを描くためには世界がどのように変化し、その中での薬剤師の立ち位置はどのようなものであるかを捉えていなければならないから、その意味でも世界へ向けて開かれた広い視野が求められる。
ここまで書いてみると、どうやら高度先導的薬剤師というものは理想の薬剤師像の延長線上にしっかりと乗っているようだ。であれば、高度先導的薬剤師は指数関数的に増えていき、いずれ日本の薬剤師の姿として常識になっていく日も来るのかもしれない。そこまで気の長い理想論ではなくても、まずは高い質を求め、本当の高度先導的薬剤師たる人材を全国に少しずつでも散らばすことができればそこから少しずつ薬剤師の姿が変わっていくことだろう。

研修を通じての感想
はじめ、どのような方達とご一緒するのかといろいろ想像をしていたが、必ずしも長い経験を積んだ、年の離れたベテラン薬剤師さんだけではなく、小林先生のように若くして先進的な取り組みを進めていらっしゃるPh. D持ち薬剤師の方などもいらして、その多様な人材から非常に多くの刺激を受けることができた。東京と金沢ではどのような違いが存在するのか、ということに注目していたが、実際に研修に参加してその取り組みを伺うと、在宅医療や介護施設への介入など、東京と殆ど同じような試みが行われているのだということが分かった。但し、金沢は東京と比較して強固な地域コミュニティの繋がりを持つため、そうした繋がりを活かした取り組みがやりやすかったり、新たな試みが広まりやすかったりといった利点があるのではないかと感じた。金沢のように、そうした点で優れている地方都市は地域医療の取り組みにおけるモデル地域として積極的に取り上げられていくべきなのかもしれない。
また、荒井先生を中心として、講義や発表討論の要所要所で様々な議論を交わせたことがとても有難かった。未熟な一学生故、偏った意見や的外れな意見もあったのではないかと自認しているが、温かく受け入れて頂けてとても嬉しかった。
元々、多少の興味だけを持って参加したプログラムではありましたが、非常に貴重な経験をさせていただきました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

5.研修前と研修後の変化
薬局実習をさせていただいた薬局の先生が非常に熱心な方で、研修前から薬局薬剤師に対するイメージはすでに良いものだった。正直実習を行うまではただ処方せんを見てお薬を患者さんにお渡しするだけの単調な業務だと考えていたが、その単調な作業の中にも、薬の併用による相互作用を確認したり、実際に患者さんとの会話、様子から副作用のモニタリングをしたり、患者さんの安全を守るための工夫がなされていることを実習で感じた。しかし、今回の研修により、薬局薬剤師がこれから果たしていくべき役割がより一層多岐にわたることを改めて知り、また、各薬局の先生方がそれぞれ様々な取り組みをしている様子を見て、医師が主導になりがちな医療において、薬剤師もどんどん前線に出て活躍することが可能であるというイメージがついた。
<高度先導的薬剤師のイメージ>
薬局の当月の売り上げばかりを気にして業務を行ったり、患者さん本位ではなく自分本位で行動したりするのではなく、常に社会の動きに目を配り、その動きに合わせて柔軟に行動し、薬の専門家としてだけではなく、人間として周囲に尊敬されるような薬剤師だと考える。また、リーダーとして周囲をいい意味で巻き込んでいけるような人物が、高度先導的薬剤師になりうると考える。
<研修の感想>
上記と重複するが、今回の研修では特に薬局薬剤師のイメージが非常に広がり、自分が想像していた以上に薬剤師の活躍が望める時代が来ているのではないかと感じた。余談だが、私の地元の福井県では医薬分業があまり進んでおらず薬剤師の必要性というものを県民があまり感じていないのが現状である。しかし、そのような土地においても、努力次第で自分にも薬剤師の地位の向上に対する取り組みができるのではないか、そのように感じさせられるほどのエネルギーを感じる研修であった。
日々の業務でお忙しい中講演をしていただいた先生方や、同じ学生として遠方から来てくださった方々とのディスカッションは非常に有意義であり、貴重な経験であった。これから自分が薬剤師としてどういうことをしたいか、考えるうえで非常に参考になった。今後、自分も薬剤師として医療に貢献していきたいと考える。

6.研修前後の、薬剤師に関する考え方の変化
 在宅医療と研修についてのイメージが変わった。在宅医療についてはもともとあまりイメージができていなかった部分もあるが、褥瘡や緩和ケアにおいて最先端で在宅医療を行っている薬剤師の方の講義を聞き、薬局薬剤師が薬局の外に出て多職種と連携することで患者のQOLが上がることを実例をもとに感じることが出来、今まで以上に多職種連携の重要性を感じることが出来た。研修については、学習したい分野の研修を自分で探し出さなければならず、忙しい業務の中で、研修を探すところからであると、研修に参加することは少しハードルの高いことかと思っていたが、実際は薬局に研修のお知らせが山ほど届いてどれに行くか迷うほどであり、多くの薬剤師が参加しており学ぶ環境は整っているということを聞いた。そのような状況であるにも関わらず、薬剤師の仕事に疑念をもたれるのは学んだことを実際に外に発信する場が少ないからであり、やはり薬局の外に出て、多職種や外部の人に薬剤師の能力を認めてもらう場を作っていくべきであると感じた。
「高度先導的薬剤師」のイメージ
 薬剤師は薬のことにとどまらない幅広い知識やコミュニケーション能力、多職種への発信力、さらには薬局を経営する能力などさまざまな力が求められていると思う。そのなかで「高度先導的薬剤師」とは、その個々の能力が優れているだけでなく、その能力を患者や多職種、外部の方々に発揮することができ、さらに同じく高度先導的薬剤師と呼ばれるような人材を育成できる者であると私は思う。
研修を通じての感想
今回の研修を通じて、褥瘡や緩和ケアなど、個々の薬局、薬剤師で重きをおいている領域が違うのではないかと思った。この活動がもっと外部へも広まれば、患者が病院から近いから、家から近いから、などの何気ない理由で薬局を選ぶのではなく、病院やさらには他のサービス店を選ぶときのように、特別な理由をもってひとつの薬局をかかりつけ薬局に選ぶようになるのではないかと思った。
実際に臨床の現場で活躍されている薬剤師の方々のお話を聞くことが出来、貴重な経験になりました。2日間、本当にありがとうございました。

7.研修前と研修後の薬剤師について自分の考え方の変化
今回の研修を通して、実際の現場で働いている薬剤師と厚生労働省の職員との間で今後必要とされる薬剤師としての役割に認識のずれが生じているのではないかと感じました。両方の立場からお話を聴くことができ、これから薬剤師が何をすべきかについて、現場の薬剤師からは服薬コンプライアンスの改善や在宅の推進などこれまでも行ってきたことの徹底でしたが、厚生労働省の職員からは国民の7割がいまの薬剤師の仕事内容に不満を持っており、現状の薬剤師の仕事内容ではいけないというものでした。私はこの認識のずれは国民が薬剤師の仕事について充分に理解できていないことが原因ではないかと感じました。私個人の意見としてはいまの薬局薬剤師の仕事は今回の現場で活躍されている方の公演の内容からも十分であるように思います。これから必要になってくることは、薬剤師の仕事や役割がどういうものかについて、患者さんだけでなく一般の人にも周知させることなのではないかと感じました。

高度先導的薬剤師のイメージ
これから求められる薬剤師のイメージとして、研修中のディスカッションでも挙げられましたが、薬学的な観点からの幅広い知識や患者さんとの情報の伝達・聞き取りのコミュニケーション能力、経済や経営に対する広い視野、患者を第一に考えること、個々の職能の強みを理解しチームとして力を発揮する能力が挙げられました。

研修の感想
実際に現場で活躍されている薬剤師さんの話を聴くことができ、将来自分が薬剤師として働くときの具体的なイメージを持つことができました。今まで在宅医療についてはそこまで関心が持てませんでしたが、先生方の講演を聴いて緩和ケアでの薬剤師の関わり方などチーム医療として薬剤師が前に出るべきところは前にでて役割を果たしていることが分かり、在宅医療についてとても興味を持つことができました。あのようなベテランの薬剤師の先生方とディスカッションできるような機会はまずないものであり、とても貴重な体験をさせていただきました。本当にありがとうございました。

8.この度、金沢で行われた高度先導的薬剤師事業学生自主学修プログラムに参加させていただき、ありがとうございました。
 私は以前薬剤師の研修に力を入れている方(以降、S氏)のお話を伺ったことがある。S氏は「『私たち薬剤師になんでもご相談ください』ってよく広告をよく見るし、薬剤師もそう言っているけどさ、患者さんにとって赤の他人に相談する訳がないじゃないですか。」と仰っていた。また、「患者さん全員が一日三食、規則正しく食べている訳がないのに、それを確認もせず一日三回服用の薬を平気で渡している。」と仰っていた。私はこのS氏のご講演を聞いて、将来薬剤師として働くにあたっては「患者さんとの信頼関係を築き」、「患者さんの生活背景を理解するように心がけよう」と心に決めた。
 学校での生活に目を向けると私のまわりには「テストに受かればいい」、「国家試験に受かればいい」と考えている学生が多く、「薬剤師としてどのように働きたいか」考えている学生には悲しいことにまだ出会っていない。S氏の話から推察すると、失礼にあたるかもしれないが、現場で働いていらっしゃる薬剤師の方であっても必ずしも全員が常に患者さんのことを考えているわけではないと思う。この考え方は研修を通しても変わらなかった。しかしながら、例えば藤澤先生が褥瘡治療の勉強会に同僚を引き連れて参加され、現場に持ち帰り患者さんに還元したというお話から、自己研鑽を行い、医療現場に還元するためには同僚を巻き込んでいくことも大切なことだと知った。現在、私は可能な限り学外の勉強会や研修に参加するようにしているが、自分だけ学べば良いのではなく周りを引き連れて参加するようにしようと思った。
 高度先導的薬剤師は、「患者さんの背景を理解」し、「一人ひとりの患者さんごとに工夫したコミュニケーション」を心がけることで信頼関係を構築し、「自己研鑽を欠かさず」、「薬物治療の知識に優れ、仲間から頼られる」薬剤師だと思う。高度先導的薬剤師になるために薬学生のうちにできることはたくさんある。学校の授業だけで満足するのではなく学外での活動にも参加し、現場で働く薬剤師の先生方のお話を伺ったり、他大学の学生と活動を共に行ったりすることで他者を理解する力がつくと考えている。これが薬剤師になった暁には患者さんの背景を理解することにつながる。
 最後に、今回研修に参加して一番印象に残ったことは藤澤先生の褥瘡治療のお話である。現場で外用薬の使い方を看護師に説明する際、実際やって見せたという工夫をされていることを伺い、他職種へのアプローチが素晴らしいと感じた。看護師さんがどのように使っているかを知り、患者さんがより高い効果を得られるようにアドバイスを行ったことで実際に患者さんの褥瘡の様子は改善させることができた症例を伺い、私も将来そのような質の高い薬物治療に関わりたいと強く思った。また上野先生のお話で、薬剤師の仕事が世間に理解されていないことを知った。将来薬剤師として働くうえでは患者さんとの間に信頼関係を築き、患者さんの不安を一つ一つ解消していき、患者さんと一緒に薬物治療に臨んでいきたいと思う。

9.研修前後の薬剤師について自分の考え方の変化
現在、薬剤師として病院で働いているのだが、研修以前は残念ながら薬剤師という職務に対して曖昧な考えしか持っていなかった。だが、今回ワークショップに参加して、褥瘡の処方提案など積極的に薬物治療を主導する薬剤師の存在を知り、刺激を受けることができた。ただ、このような薬剤師の存在は極めて少数であることを忘れてはならない。現在、薬剤師の多くは池の中で餌を待つ鯉のように、ただ何かが起きることを待つだけの存在のように感じられる。皆が自主的に勉強する気概を持っていればよいのだが、実際はそうではない。だからこそ、できる薬剤師を見て希望を持つことも大切であるが、できない薬剤師を見て全体を底上げする方法を考えることも大切ではないかと改めて感じた。例えば現場には「新しい薬がどんどん増えて大変だ、覚えることが出来ない」と嘆く薬剤師がいる。この問題の解決策として私は免許更新制の導入を提案する。更新制になれば、皆必ず勉強するであろうし、自己研鑽を積まない薬剤師はいずれ淘汰されていくからだ。そもそもピッキングと型通りの服薬指導しかできない者は薬剤師を名乗る資格はない。せいぜいテクニシャン、将来的にはPepperくん等の人工知能で十分代替可能な存在だ。もう少し技術が発達すれば、自助努力を行なわない薬剤師から免許を剥奪したとしても人工知能が代替してくれるため、人材難の問題も起きないだろう。
ここでテクニシャン・人工知能と薬剤師の違いを考えてみると、前者は頼まれたこと・問われたことに対する行動しかできないが、後者は自ら問題提起して行動を起こすことができるという違いがある。従って、今後私たちは人工知能に代替されないためにも、最低限の知識を身に付けつつ、自ら行動を起こす力を養っていくことが大切ではないだろうか。
・高度先導的薬剤師のイメージ
研修以前はどのような薬剤師を示すのか分からず、漠然としたイメージしかなかった。しかしながら研修を通じて、研究~臨床現場まで広い範囲に造形のある薬剤師だと思うようになった。確かに薬剤師は臨床現場のみ、薬学研究者は研究のみを知っていれば良いという考えもあるかもしれない。しかしながら、研究と臨床現場はまさに車の両輪のような関係である以上、全体を先導していくためには研究~臨床現場まで横断的な知識を持ち、今どの分野に注力していけば良いのかを思い浮かべられる必要があるのではないだろうか。ただ現在、横断的な知識や経験を持つ薬剤師が少ないというのも事実だ。例えば医師であれば臨床現場と研究を行き来するものが多く、横断的な知識や経験を持つ人材が多いように感じられる。従って、今後、高度先導的な薬剤師を育成するには研究と臨床現場を行き来するシステムを作り上げることが不可欠ではないだろうか。
感想
今回、薬剤師になってから社会人学生としてはじめて泊りがけの勉強会に参加したのだが、学生時代とはまた違った景色を見ることが出来て面白かった。ただ学部学生がもう少したくさん質問してくれると良いように感じられた。

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