【報告】沖縄北部地区における地域医療を理解するためのアドバンスト実務実習

2017.10.10

報告者:
名古屋市立大学 講師 坡下 真大

概要:
 沖縄県北部地区は人口減少が続いており、また薬剤師数も全国で最も少ない地域である。
特に、診療所が1施設、保険調剤薬局が1施設しかないような離島や
住民5千人程度の小さな村が存在するような現状の中で、
薬剤師がどのように地域と関わり地域医療を支えているのか、
患者とどのように接しているのかを見学することで、これからの薬局のあり方を理解させる。
また患者らと面談、服薬指導を通して地域の実体を調査し、
方言を始めとする地域の特性や習慣など、普段触れることのない知識を修得することを目標とした。

感想:
 名護市における薬局での対応では、なかなか患者らの面談許可が下りなかったが、
伊江島や大宜味村における薬局では快く受け入れてもらえた。北部地区においても、
その場所、または薬局の地域性によって患者の性格に偏りがあるのかもしれなかった。
特に、伊江島における薬局では、薬剤師と患者の距離が非常に近く、
患者が薬局を医療における第一選択施設として認識していることを強く認識した。
都市部では、薬局が薬を受け取る場所として形骸化しつつある中で、
伊江島のような離島では患者の相談場所として薬局が機能していることを目の当たりにした。
以前の薬局はどこでも、このような相談場所としての機能が強かったが、
近年は都市部において急速にその役割が弱まっている。
原点回帰という面でも、伊江島の薬局を始め沖縄県北部地区の薬局での実習を
学生に体験させることは、非常に重要であることを強く認識することができ、
事業の継続が重要であることを改めて感じることが出来た。


参加学生の感想:
琉球大学医学部付属病院シミュレーションセンターにおいて設備を見学し、
薬剤師に向けて、もしくは研修医に向けてどのような研修会を行っているのか教えていただいた。
琉球大学のシミュレーションセンターはまだ設立されたばかりで、
琉球大学医学部付属病院で使わなくなったマシンがおかれているので、
さまざまなマシンの使い方を実際に学ぶことができるようになっている。
北部地区薬剤師会の薬局では、薬剤師の人数が少ない中でどのように薬局業務を
行っているのか見学した。人数が少ないことで少し慌しく、
調剤や監査を簡易化するためにさまざまなシステムが導入されていたが、
患者さんと接する時間は長くとても丁寧な応対をしており、
患者さんが薬剤師の先生方をとても信頼しているのが印象的だった。
また、特に伊江島の先生は生活指導を行っていたり、OTCを一緒に選んだりと
医療機関が少ない中で島民の皆さんの健康を支えるためにさまざまな知識を持っていて驚いた。
北部地区ではセルフメディケーションもかかりつけ薬局のような働きも
当たり前のように行われており、患者さんとのコミュニケーション面において非常に勉強になった。


北部地区の薬局にて聞き取り調査を行い、地域や高齢者の現状を理解し、課題を明らかにした。
地域の方々は、家族は別々に住んでいるが、近くに住んでいるという方が多かった。
特に伊江島では、人と人との距離が近いと感じた。家族の繋がりが強く、
地域で互いに助け合って生活しており、このように周囲のサポートを
受けることができることは大きな強みであると感じた。また、北部地区では、
医療者と患者の 距離が近いことが非常に印象的だった。
薬局は地域の方にとって非常に身近な医療機関であり、医療の窓口となっていると感じた。
いきなり病院を受診するのではなく、薬局で相談をし、患者が自身で
健康管理を行うことが自然と行われていた。薬剤師は患者に寄り添った
コミュニケーションの中から患者の健康状態を把握し、継続的な支援を行っていた。
患者や地域の背景に応じた医療が重要であると理解した。今回の薬局実習では、
地域医療の実際を見学し、薬剤師や薬局の役割について理解を深めることができた。
また、薬局聞や薬局と診療所など、地域における医療機関の連携の実際を学ぶことができた。
今回の経験を今後の学習にも生かしていきたいと考える。


琉球大学附属病院薬剤部とクリニカルシミュレーションセンターの見学を行った。
シミュレーションセンターには、数多くのシミュレータや医療機器が揃っているだけでなく、
実際の病室や手術室などの病院設備を考慮された建物の構造になっており驚いた。
県内の医療系学生だけでなく、現場で働いている 医療人などもこの施設を使うことができ、
今まであまりシミュレーションをやってこなかったような職種や多職種での
セミナーも行われており、如何に施設が活用されているかを学んだ。
次いで、北部地区の薬局の見学と実習を行った。名護市の会営薬局や病院前薬局では、
薬剤師数が少ない からこそ工夫されている薬局内の設備を説明いただいたり、
患者と会話させていただいたりした。伊江島の内間薬局では、
物がないことや届かないことから得られた服薬指導を見学させていただいた。
また、伊江島 の診療所にある透析センターも見学させていただき、
島に透析センターがあることが島の透析患者にとってどれほど助かることかを学んだ。
大宜味村のふる里薬局や国頭村の上原薬局では、地域に一つの薬局が地元の患者に
いかに頼られていて、どれほど広い地域の患者を薬局で受け持つているのかを学んだ。
患者と薬剤師、薬局と薬局の距離感が近く、地域の薬剤師が協力をしながら
患者を支えていることが分かつた。

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