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2013.07.23
【論文掲載】 細胞生物学分野(山口 明人教授)の博士後期課程2年 山崎 聖司氏、博士前期課程2年 林 克彦氏らの研究成果が「Nature」に掲載

Nakashima R, Sakurai K, Yamasaki S, Hayashi K, Nagata C, Hoshino K, Onodera Y, Nishino K, Yamaguchi A.

 「Structural basis for the inhibition of bacterial multidrug exporters」

【概要】
 近年、抗生物質の発達で克服されたと思われていた細菌感染症が、多剤耐性菌の登場によって大いなる脅威となっています。中でも、多剤耐性のある緑膿菌には有効な治療薬が全く存在せず、その主原因は薬物を異物として排出するタンパク質(多剤排出タンパク質)にあることが分かっていました。これまでに、多剤排出タンパク質の阻害剤開発に多くの努力が傾けられましたが、未だに臨床的に有効な治療薬は得られていません。大腸菌の多剤排出タンパク質AcrBを阻害するピリドピリミジン誘導体ABI-PPは、緑膿菌の多剤排出タンパク質MexBの特異的阻害剤ですが、多剤耐性緑膿菌のもう一つの有力な原因である多剤排出タンパク質MexYを全く阻害できないため、多剤耐性緑膿菌感染症の治療薬として使用できませんでした。

 今回、細胞生物学分野(山口 明人教授)の大学院生、山崎聖司氏、林克彦氏らの研究により、ABI-PPとAcrBおよびMexBとの結合構造の決定に世界で初めて成功し、ABI-PPによる多剤排出タンパク質の阻害機構を解明すると同時に、ABI-PPがMexYを阻害できない構造的原因を突き止めることに成功しました。本研究により、AcrBやMexBのみならず、MexYをも阻害する広域多剤排出タンパク質阻害剤を、タンパク質立体構造情報に基づく薬剤設計SBDD(Structure-Based Drug Design)の手法によって分子設計する道が開かれました。多剤耐性緑膿菌感染症に有効な、世界初の治療薬開発につながることが期待されます。

主要著者の山崎聖司氏と林克彦氏
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