・概要
アンチセンス・遺伝子・デリバリーシンポジウム2012 (平成24年9 月24日~26日)
「マイクロRNAを利用してウイルス遺伝子の発現を抑制可能なアデノウイルスベクター
の遺伝子導入特性に関する検討」
学生奨励賞
清水 かほり(分子生物学分野 博士後期課程3年)
アデノウイルス(Ad)ベクターは、遺伝子導入ベクターとして多くの長所を有していることから、遺伝子治療臨床研究において汎用されています。従来のAdベクターは、理論上ウイルス遺伝子が発現しないよう設計されていますが、遺伝子導入後わずかにAdタンパク質が発現することにより、それらのタンパク質に対する細胞性免疫が誘導されることや、Adタンパク質そのものによる組織障害が引き起こされることが指摘されています。そこで私どもは、microRNAによる遺伝子発現制御機構を利用して、Adタンパク質の非特異的な発現を抑制可能な新規Adベクターを開発しました。本学会において、本Adベクターが従来のAdベクターと比較し、組織障害が低く安全性が高いなど、その遺伝子導入特性について発表しました。今後は、Adベクター作用後の毒性発現のメカニズムを解明し、より安全で機能的なAdベクターの開発を行いたいと考えています。