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2010.11.17
【論文掲載】 毒性学分野 堤 康央教授、薬剤学分野 向 洋平助教らの研究成果が「米科学誌サイエンス・シグナリング」に掲載

「2010年11月16日電子版」

Mukai Y, Nakamura T, Yoshikawa M, Yoshioka Y, Tsunoda S, Nakagawa S, Yamagata Y, Tsutsumi Y.
”Solution of the Structure of the TNF-TNFR2 Complex”
Sci Signal. 2010 Nov 16;3(148):ra83.

【邦題】
TNF-TNFR2複合体の構造解明

【要約】
腫瘍壊死因子:TNFは、リウマチや潰瘍性大腸炎などの難病の原因分子の1つとして知られ、このTNFを封じ込める抗TNF医薬は全世界の医薬品市場において最も大きな売上を占めています。しかし、TNFはヒトの身体の免疫を司る重要な分子であるため、このTNFを完全に抑えこんでしまうと、発がんや感染症にかかりやすくなるなど、重篤な副作用を招いてしまう可能性があります。そこで、TNFが作用するために必要な2種のレセプター、TNFR1及びTNFR2のうち、一方のレセプターのみをブロックする医薬が、上記の副作用を回避しうる夢の治療薬になりえるものと期待されています。しかし、このような医薬を設計するために重要となる、レセプターの立体構造(蛋白質のカタチ)は、TNFR1のみしかわかっていませんでした。そこで我々は、新たに、TNF-TNFR2の複合体構造を世界に先駆けて解明し、既に明らかとなっていたTNFR1と、我々が初めて明らかにしたTNFR2とのカタチがどのように違うのか、レセプターのどの部分を狙えば一方のレセプターだけをブロックできるか等、医薬品開発に重要な情報を明らかにしました。それに加え、このTNF-TNFR2の複合体が細胞表面で大きなつながったネットワークを形成する可能性を示し、このネットワークを阻害することも新たな医薬の開発につながる可能性を提唱しました。以上の結果は、現存の抗TNF医薬の副作用を回避し得る基礎情報を提供するものであり、今後の次世代型抗TNF医薬の開発に世界的な貢献をもたらすものであると考えられます。

【備考】
本研究成果は、大阪大学大学院薬学研究科と、独立行政法人医薬基盤研究所バイオ創薬プロジェクト、熊本大学大学院薬学教育部との共同研究の成果です。

「サイエンス・シグナリング(Science Signaling)」は、米国科学振興協会(AAAS)が発行する科学誌「サイエンス」の姉妹誌で、2008年1月より研究論文の掲載を開始した新しい科学誌です。

TNF-TNFR2複合体の構造。TNFR2(青)は細胞表面でTNF(緑)の周りに3分子結合し存在することが予想された。
最終著者の毒性学分野 堤 康央 教授
筆頭著者の薬剤学分野 向 洋平 助教
「サイエンス・シグナリング」 2010年11月16日号電子版の表紙。本研究成果が表紙を飾っています。 [http://stke.sciencemag.org/content/vol3/issue148/cover.dtl]
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