大阪大学薬学研究科 先進健康科学(サラヤ)共同研究講座  

大阪大学薬学研究科 先進健康科学(サラヤ)共同研究講座

overview

研究概要

 当研究講座では、サラヤ株式会社における人と地球にやさしい製品開発研究と大阪大学薬学研究科における様々な天然物資源の物性評価や生体内動態解析、生物活性機構解明に関する研究を融合し、持続可能な科学技術を産み出し、人の健康に役立つ製品開発を行うことを目的とする研究活動を行っています。

研究テーマ

  • ホホバオイルの研究開発

     ホホバ(Simmondsia chinensis)は乾燥に強く、持続的に砂漠を緑化するための「緑化農業」に適した樹木です。地球上で唯一、ヒト皮脂のワックス成分と類似のワックスモノエステルを主成分として持つユニークなオイル(ホホバオイル)を種子に生産します。ホホバオイルは優れた保湿成分として化粧品に使われており、その科学的な解析が進められています。
     当講座では、ホホバオイルの特性の解明、及び皮膚への効果に関する研究などを行っています。これまでの当講座の研究で、ホホバオイルが、他の植物油と比較して高い酸化安定性と抗酸化活性を併せ持つことが示されました。

  • jojoba


  • ソホロースリピッドの用途開発

     再生可能な資源から微生物が産生するバイオサーファクタント(Biosurfactant,BS)が注目されています。BSの1つであるソホロースリピッド(Sophorose lipid,SL)は、化学合成界面活性剤と同等の界面活性能を有しているだけでなく、自発的に粒子化して経皮吸収性を制御するなど、ユニークな機能が見出されています。しかしながら、その粒子の物性や形成メカニズムが十分に解明されていません。
     当講座では、SLの機能性評価および経皮デリバリーキャリア素材としての有用性に関する研究開発に取り組んでいます。具体的には、SL粒子の物性を明らかにし、それらが経皮曝露された際の動態解析を進めています。SL粒子の物性および動態を制御することにより、化粧品や医薬部外品に汎用されるアクティブ成分の効能をエンハンスさせることを目指しています。

  • SL


  • 新規機能性食品成分の開発

     グルタチオン(GSH)は、生体内の酸化ストレス防御や異物除去に重要な役割を果たしています。しかし、老化の進行や慢性疾患により細胞内GSHレベルが低下すると、こういった役割が十分に果たせなくなります。GSHレベルの低下を防ぎ、老化や慢性疾患の進行を緩やかにするためには、 GSHレベルを正常に維持することが有効だと考えられますが、GSHを投与しても直接細胞内に取り込まれ難いことから、効果的にGSHレベルを維持する新たな方法が必要となります。 最近、GSHの生合成前駆体であるγグルタミルシステイン(γEC)の投与によりGSHレベルが上昇し、認知症の改善や神経細胞の保護が示されることが報告され、老化や慢性疾患の緩和作用が期待されます。γECは、GSHに比べて非常に高価であり機能性食品として利用が難しいことから、当講座では我々が発見したGSHをγECへ変換する新規酵素を利用したγECの安価な生産系の構築に取り組んでいます。

  • γEC