Receptor for AGEs

糖尿病に起因する血管障害は、患者の生命予後やQOLを大きく左右している。 近年、血管障害の原因として蛋白質が非酵素的に糖化修飾されて生成するAGEと、 その受容体RAGEとの相互作用が注目されている。 RAGEはI型膜蛋白質であり、イムノグロブリンスーパーファミリーに属する3つのドメインから成る細胞外領域をもつ。 このうちAGE結合部位はN末端側の可変領域様ドメイン (Vドメイン)に存在している。 我々糖尿病血管障害の予防・治療薬の合理的創出を目指し、Vドメインの立体構造を解析した。 その結果RAGE Vドメインは主にβシートから形成されるイムノグロブリンフォールドをもつことが明らかとなった。 また、立体構造に基づく変異体作成によって、RAGEのAGE結合領域を明らかにした。

Adiponectin

近年、メタボリックシンドロームの診断・治療において、脂肪組織から分泌される アディポサイトカインの一種であるアディポネクチンが注目されている。 アディポネクチンは血中濃度がBMIと逆相関し、抗動脈硬化・インスリン抵抗性改善効果を示す善玉サイトカインである。 血中では3量体を基本とし、それが会合した6量体および高分子量多量体(HMW)といった種々の形態で存在すること、 さらに各形態が異なる生理活性を示すといった特異な性質を示すことに興味が持たれている。 我々はアディポネクチンの多量体形成機構を分子レベルの物性・相互作用に基づき解析している。